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2022.3.2

テレワークによる生産性の変化|低下する理由や向上した事例、施策を紹介

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、テレワークを導入した企業も多いのではないでしょうか。テレワークをいざ実施してみると、オフィスへ出勤するときと比べて生産性の変化を感じた方方も多いでしょう。テレワークとオフィスに勤務する場合では、生産性に影響を及ぼすものが異なるのが原因の1つです。

また、テレワークによる生産性への影響は、国や地域によって差があるのが現状です。本記事では、テレワークで生産性が低下する要因や、生産性を向上させるための施策を紹介します。企業事例もあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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海外と国内のテレワークによる生産性の変化

テレワークによる生産性の変化については、さまざまな調査が行われています。本記事では、2020年5月にレノボ・ジャパンが日本を含む10カ国で行った調査を紹介します。

結論からいえば、「生産性が高まった」と回答した割合は全体で63%と半数以上に及びました。しかし、日本では「「テレワークによって生産性が低下した」」と答えた割合が40%と、世界で最も高い割合でした。

国際調査では「生産性が高まった」63%

レノボ・ジャパンの調査では、オフィス勤務と在宅勤務の生産性を比較しました。オフィス勤務よりも在宅勤務のほうが生産性が高まると回答したのは、全体平均で63%です。全体でみると、在宅勤務は生産性の向上に効果があると回答した割合が高いことがわかります。

日本はテレワーク導入で生産性が低下

反対に、「「テレワークによって生産性が低下した」」と答えた割合の10カ国平均は13%でした。しかし、国別にみるとの10カ国平均は13%でした。しかし、国別にみると日本の場合は40%と高い割合になりました。と高い割合になりました。

日本で在宅勤務を導入すると生産性が下がる理由としては、IT機器やソフトウェア購入などのテクノロジーに十分な投資を行っていないことが挙げられます。実際に、日本のIT機器やソフトウェアへの支出金額は132米ドルと、10カ国中で最下位でした。テレワークにおいて会社の支出が少ないということは、従業員の自己負担が大きくなると考えられます。

従業員の自己負担が多い場合は、自宅で作業する際の環境の差が大きくなってしまいます。オフィスのように統一した環境にはならないため、従業員によって生産性にばらつきが出てきます。

テレワークで生産性が向上した企業事例

日本ではテレワークによって生産性が下がる企業が多いものの、中には生産性が向上した企業もあります。生産性が向上した企業の事例を確認することで、自社でテレワークを行う際の参考にすることができるでしょう。本記事では、NTTコミュニケーションズ、チューリッヒ保険会社、日本航空株式会社の事例を紹介するので、参考にしてください。

NTTコミュニケーションズ

NTTコミュニケーションズでは、2020年2月から全社でリモートワークを実施しています。リモートワークの維持率は80%と高く、リモートワークが社内に浸透しています。具体的な効果としては、従業員満足度の向上が挙げられます。

NTTコミュニケーションズでは、従業員の顧客満足度調査を毎年実施しているため、リモートワーク前後の満足度について比較が可能です。全社リモートワークがはじまった2020年12月の調査結果を2016年から2019年の結果と比較すると、全ての項目においてポジティブな回答が以前よりも多く、過去最高の割合でした。具体的な設問例は「社員が生産性高く働けるか」や「社員が公平に取り扱われているか」、「社員が会社から尊重されているか」などがあります。

チューリッヒ保険会社

チューリッヒ保険会社は、コールセンターを含めた全部門の95%で在宅勤務を実施しています。2012年から少しずつ在宅勤務のための仕組みを整えていきました。時間をかけて在宅勤務の体制を整えたため、在宅勤務に移行しやすかったとそうです。

チューリッヒ保険会社の在宅勤務に関する取り組みの流れは、2012年に仮想デスクトップの導入をしたことから始まります。その後、2014年には在宅勤務規定が制定されました。2019年10月には業務の一部が在宅勤務に切り替えられました。そのため、新型感染症が流行する前に、在宅勤務の体制が整っていたといえるでしょう。2020年2月には在宅勤務トレーニングが行われ、2020年4月7日をもって、全部門の95%が在宅勤務に移行しました。

チューリッヒ保険会社では、緊急事態宣言発令中もお客様満足度が上昇しています。会社に出勤していたときよりも顧客満足度が高かったのは、おさえておくべきポイントです。在宅勤務の体制を整えた状態にすれば、顧客対応の品質を保ったまま在宅勤務に移行できます。

日本航空株式会社

日本航空株式会社では、2015年4月からテレワークを導入しています。現在でも週あたり2回のテレワークを認めており、フレックス制度とあわせて利用できるのも特徴です。

テレワーク導入によって生産性が向上したため、一月あたりの時間外・休日労働時間の平均が、2016年の12.1時間から2017年には7.9時間まで減少しました。テレワークに伴い、ペーパーレス化にも取り組んでいることも業務の効率化を促進しているようです。

また、定例業務にロボットを活用しているのも日本航空株式会社の特徴です。RPA(Robotic Process Automation)というロボットによる業務自動化が行われています。業務フローをプロセスごとに切り分けていくと、定例的な業務が出てきます。定例的な業務をロボットに任せることで、従業員の負担が軽くなるという仕組みです。

テレワークでは出勤時と同じフローで業務がまわることは少ないといえます。テレワークに対応したフローを作ることで、生産性向上の手助けになるといえるでしょう。

テレワークで生産性が低下する理由

テレワークによる生産性の低下には、コミュニケーション・進捗管理・作業環境などが関わっています。どれもテレワークに特有のもので、オフィスに勤務している場合には問題に挙がらない項目です。そのため、新たに対策をとらなくてはならないことも多いといえるでしょう。それぞれ具体的に原因を確認しながら、自社でも同じような問題が起きていないか確認していきましょう。

コミュニケーションがとりにくい

テレワークで課題になりやすいのが、コミュニケーションの問題です。出社している場合には気軽に雑談や相談ができるものの、テレワークではどうしてもコミュニケーションが取りにくくなります。

もちろんWeb会議をひらけば解決しますが、会議はあくまでも業務に関わることのみを話し合うことになる場合がほとんどです。Web会議ではちょっとした雑談がしにくいと感じている従業員も多いはずです。また、チャットでも業務の連絡が中心になる場合もあるでしょう。

コミュニケーションのとりにくさを解消するためには、テレワークに合わせたコミュニケーション体制やルール、ツールの準備が必要です。ちょっとしたコミュニケーションがとりやすい環境があると、生産性の低下を防げるでしょう。

具体的には、Web会議の冒頭で雑談をする時間を設けたり、議題について打ち合わせる前に5〜10分時間をとることで、気軽に話せる環境づくりをするのもおすすめです。

また、チャットツールの中で雑談をするための場所を作るなど、気軽に相談できる場を確保しておくのもよいでしょう。Web会議で発言しにくい従業員がいることも考えると、チャットツールでも雑談の場を設けておくことが大切になります。

また、テレワークができる従業員とできない従業員がいる場合にもコミュニケーションのルール作りが有効です。テレワークの有無を問わずコミュニケーションをとれるルール作りをしておくことで、生産性の低下が防げます。

業務の進捗管理が難しい

業務を進めていく中で、進捗の管理ができず生産性が低下してしまうこともあります。出社時とは異なり、働いている姿を直接見られなかったり、細かく声をかけられなかったりすることで、業務の進捗を把握することが難しくなります。

進捗が把握できないと、進捗に応じたアドバイスがしにくいでしょう。加えて、評価についての問題が発生してしまう可能性があります。出社時と同様な評価制度では、適切に評価ができない可能性もありますります。テレワーク時には業務プロセスを把握しにくいことから適切に評価がされていないと感じてしまう従業員も多くいるでしょう。進捗管理とともに評価制度の見直しも必要です。

業務管理は生産性の低下のほか、従業員からの信頼感にもかかわる問題です。可能であればテレワーク開始前に進捗管理のプロセスを定めたり、評価のしかたを見直したりするとよいでしょう。

自宅の作業環境が整っていない

テレワークを始めるといっても、従業員によって自宅の環境はさまざまです。オフィスのように仕事に集中できる環境が整っているとは限りません。そのため、作業環境が悪く生産性が低下してしまうことがあります。

特に都市部に住んでいる場合には部屋数も少なく、テレワーク専用の部屋を設けるのが難しい場合もあるでしょう。そのため、家族と同じ部屋で仕事をする場合など、思うように業務がはかどらない可能性もあります。

そのほか、自宅で業務を行う場合には、オンオフの切り替えの切り替えが難しいために生産性が低下してしまうこともあります。出社時と比較して、仕事のメリハリがつかずに勤務時間が長めになってしまう可能性もあるでしょう。

テレワークで生産性を向上させる施策

テレワークで生産性を向上させるためには、コミュニケーション・勤怠管理・業務プロセス・評価制度・ツールがカギとなります。5つの施策を行うことで、生産性を高めつつテレワークを実施できるでしょう。どれもすぐに実行できるものではないので、できることから進めていくのがおすすめです。

コミュニケーションの場を整える

まずは、コミュニケーションの場を整えましょう。何気ない会話や雑談がオンライン上でもできるように場を整えることが必要です。テレワークを導入すると、コミュニケーションの量は減ってしまう傾向にあります。そのため、意識的にコミュニケーションをとる場を設けることが大切です。

たとえば、1対1のコミュニケーションを増やせる仕組み作りを行いましょう。定期的にチームのメンバーと1対1でコミュニケーションをとることで、テレワークにありがちなコミュニケーション不足が解決できるでしょう。

また、可能であれば、参加するハードルが低いコミュニケーションの場も設定するとよいでしょう。テレワークでは雑談の時間をとることが難しいため、雑談の場を設定することで、コミュニケーションがよりとりやすくなります。

なお、コミュニケーションの場を設ける場合には、コミュニケーションのルールを決めておくとよいでしょう。「Web会議は顔出しをする・しない」などとルールを決めておくことで、コミュニケーションがしやすくなります。

関連記事:テレワークにおけるコミュニケーション不足の課題を解決する方法

勤怠管理をシステム化する

勤怠管理には、勤怠管理には、テレワークで使いやすいシステムを取り入れましょう。システムを取り入れましょう。システムを選ぶ際は、勤怠を報告する側も管理する側も使いやすいシステムを利用するのがおすすめです。勤怠管理に時間をとられてしまうと、ほかの業務への影響が出てしまいます。適切なシステムを導入して、勤怠管理を楽にできるようにしましょう。

関連記事:勤怠管理はアプリでスマートに。おすすめのサービスを紹介

業務プロセスを可視化・共有する

テレワークでは、業務プロセスを可視化し、共有する必要があります。出社時は、業務のプロセスがあいまいでも業務が進んでいる場合が多いのではないでしょうか。テレワークでは業務のプロセスをあいまいにすると、業務に支障がでる場合があります。テキストベースでのやりとりが多くなるため、あいまいな指示では何をどのようにするのかが伝わらないことがあるからです。また、業務について質問をしてもすぐに返事がもらえるとは限らず、返答待ちの状態で業務が滞ってしまうこともあるでしょう。そのため、あらかじめ業務のプロセスがどれくらいあって、どれくらいの時間が必要かを明文化する必要があるでしょう。明文化しておくことで、テレワークでも業務がしやすくなります。

また、業務プロセスが可視化できたら、従業員それぞれがこまかな報告やステータスの更新をするクセをつけていくことが大切です。テレワークの場合、報告やステータスの更新が行われていないと、仕事が進んでいないと受け取られてしまいます。自分が今何をしているのかをわかるよう共有しておくことで、テレワークの生産性が上がるでしょう。

評価制度を見直す

テレワークでは、オフィス勤務オフィス勤務と同じ評価制度ではではうまくいかない場合があります。これまで通りプロセスで評価しようとすると、進捗や勤務態度で評価することになりますが、テレワークでは個々の従業員の進捗や勤務態度を出社時のように確認するのは難しいでしょう。

そのため、テレワークにあわせた評価制度に作り替える必要があります。たとえば、これまで勤務態度で評価をしていた場合には、勤務態度の評価の割合を下げる方法があります。勤務態度ではなく成果物重視の評価にすると、評価がしやすくなるほか、従業員の不満がたまりにくい評価になるでしょう。

ただし、テレワークでもプロセスで評価できるように、業務プロセスを可視化したり、コミュニケーションを増やしていったりする必要があります。プロセスが可視化されることで、評価がしやすくなるでしょう。

関連記事:人事評価に納得いかない!納得度の高い人事評価制度を作るポイント

ITツールを活用する

テレワークに強いITツールを活用するのも、生産性の向上につながります。これまで利用していたツールがテレワークで使いにくい場合には、ツールの見直しも行う必要があります。出社する従業員とテレワークの従業員がいる場合には、どちらの場合でも使いやすいツールを導入する必要があります。全従業員が共通して活用できないと、管理する側の負担が増えてしまうでしょう。

また、ITツールは、一元的に管理できるものを使用するのがおすすめです。1つのツールで業務が完結するようにしておけば、情報を探す手間や報告するものに応じてツールを変える手間がなくなるため、生産性の向上につながるでしょう。管理者側の負担も軽減できます。

関連記事:労務・人材管理に役立つ人事システムとは

テレワークの生産性向上にはCYDASを活用

テレワークにおける生産性は、適したツール選びや業務内容の明文化などにより高められるでしょう。出社していたときと同じ方法ではうまくいかない場合も多いため、テレワーク導入前に準備を進めることが重要です。

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