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2022.10.28

タレントマネジメントシステムの主な機能|サービスの比較ポイント

働き方の多様化に伴う人材の流動化が進む昨今では、人的資源の確保・活用が企業の課題となっています。このようななかタレントマネジメントシステムは、人事施策に沿った人材マネジメントを可能とするツールとして近年注目を浴びているシステムで、導入する企業が増えつつあります。

今回は、タレントマネジメントシステムについて、基本機能や種類、選び方について解説します。人事業務を効率良く進めたいと考えている人事担当者はぜひ参考にしてください。

タレントマネジメントシステムとは

タレントマネジメントシステムとは、従業員のスキルや経歴、資格などさまざまな情報を集約し、会社全体で共有するシステムです。タレントマネジメントシステムを導入すれば、人材に関する情報を一元的に管理することができるため、公正な人事評価や効果的な人材育成などを効率的に行うことができます。

能力や人材、才能を意味するタレントをマネジメントする、つまりタレントマネジメントは「能力を管理する」という意味合いがあります。

もともとタレントマネジメントの概念は欧米を中心に注目され、広がっていました。日本において取り入れられたのは、2000年代後半頃です。現在では、大企業や外資系企業だけでなく、中小企業においても、その効果に期待が寄せられています。

人事システムとの違い

これまでの人事システムは、人事や労務の管理担当者の業務効率化を目的としたものが大半で、従業員の勤怠・給与・評価・採用に関する情報を管理するシステムでした。

一方タレントマネジメントシステムは、従業員のスキルや能力、評価、経験値などの情報を一元的に管理することで、評価業務や人材育成に役立てられるシステムです。その人材が持つスキルや経験をどのような業務に活かせるのかすぐに判断できるので、より戦略的な人事施策を行うことができます。

いずれも人事領域で活用されるシステムですが、目的や機能に違いがあるのです。タレントマネジメントシステムは、企業の人事戦略に基づいた人材開発・人材活用を目的としています。

タレントマネジメントシステムの導入が進む背景

タレントマネジメントシステムの導入が進む背景には、多様化する人材の退職を防ぎ会社への定着を促すことや、労働人口の減少に伴う企業の人材リソースの有効活用などがあります。

近年の労働環境は国境を越えており、日本国内でも外国人従業員が増加しています。また働き方改革やワークライフバランスの重視により、在宅ワークや時短労働も一般化しつつあります。さらに少子化による労働者不足で、優秀な人材を確保することも難しくなっています。

このような中、従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、適切な人事配置を行うためには、戦略的な人事施策を可能とする人材管理が必要です。このような背景から、タレントマネジメントシステムの必要性が高まりつつあるのです。

タレントマネジメントシステムを導入するメリット

タレントマネジメントシステムを導入すると、人材のさまざまな情報を一元的に管理できるため、採用や評価、目標管理など人事部門の業務効率化が図られます。また、これにより個々の能力や強みを分析できるため、一人ひとりに合わせた育成ができ、適材適所の配置が可能になります。従業員一人ひとりのパフォーマンスが向上するので、会社の業績アップや生産性向上にもつながるでしょう。

さらに、公平で透明性のある人事評価ができるため、従業員のモチベーションアップにもつながります。従業員の労働意欲が高まることで、離職率も低下するでしょう。

タレントマネジメントシステムの基本機能

タレントマネジメントシステムには従来の人事システムに加え、人事戦略に役立てられる機能が備わっています。その基本機能は、従業員の基本情報や目標、育成計画の管理機能、実積などの検索機能、人員配置機能などで、人事施策に有効な管理・検索・配置の機能が充実しています。

ここでは、基本機能それぞれの特長や役割について、解説します。

従業員の基本情報データベース管理機能

基本情報データベース管理機能は、従業員の基本情報を集約したデータベースです。従業員一人ひとりの顔写真や年齢、入社年度、経歴、勤怠情報などの個人情報のほか、資格、人事評価におけるランク、得意とすることなど、さまざまな情報を管理できます。

この機能に収められた人材情報は、社内で閲覧権限を持っている人なら誰でも引き出すことができるため、部署間での情報共有にも役立てることができます。また、この機能で集めた情報はほかの機能にも紐づけて活用することもできるので、処理の手間が省かれ、更なる業務の効率化につながります。

スキル・キャリア・実績などの登録・検索機能

スキル・キャリア・実積などの登録・検索機能には、従業員のスキルや実績が登録されています。このようなスキル管理では、業務に活かすために伸ばすべきスキルが明確になるため、効果的な人材育成の施策考案に役立ちます。

またこの機能では、会社が求める次世代のリーダーや後継者にふさわしい人材も選抜できます。タレントマネジメントシステムでは、登録されたスキルや経歴、適性をもとに、将来の管理者や幹部に適した人材を探すこともできるため、素早く候補者を選ぶことができます。時間や労力をかけずに、人材育成計画を立てられるでしょう。

コンピテンシー情報の管理機能

コンピテンシー(competency)とは、高い業績や成果につながる行動特性のことです。タレントマネジメントシステムのコンピテンシー管理では、コンピテンシー項目の洗い出しやそれを基にした人事評価、目標管理に活用することも可能です。また、会社にとって理想の従業員像をコンピテンシーモデルにすることで、会社が期待する人材像と従業員とのギャップを明確にします。従業員のスキルを引き上げることにもつながるでしょう。コンピテンシー管理機能は、従業員のスキルアップ施策に役立つのです。

組織図作成・人員配置機能

組織図作成・人員配置機能は、従業員の配属情報や各部門の人材構成や人員のランク、残業時間などを図表で分かりやすく表示する機能です。システムの中には、人材情報を登録すれば自動で生成してくれたり、それを基に最適な配置転換のシミュレーションを行う機能が備えられていたりする場合もあります。

育成計画の管理機能

育成計画の管理機能は、一元的に管理した従業員データベースから将来不足すると考えられるスキルを洗い出し、これを基に育成計画を作成し進捗を管理する機能です。個人またはグループ単位で立てた育成計画の進捗をデータで確認することができるため、研修などの実施にも活用することができます。

また、人材における採用や配置、異動といった人員に関わる要員計画を管理する機能も備えられており、人事戦略の費用対効果を測ることも可能です。

アンケート・サーベイ機能

タレントマネジメントシステムでは、従業員データベースを利用してアンケートを実施できる機能も備わっています。さらにアンケートの回答結果を集計、分析できる機能も利用できるため、従業員の意見を把握できます。普段はなかなか言いづらいという従業員も、この機能を使えば、本音や会社の想いを吐露することができるでしょう。

特に従業員が多い大きな企業ではコミュニケーションが十分にとれず、それが業務に支障をきたしてる場合があります。アンケートやサーベイ機能を利用すれば、効率的に従業員の意見を集めることができるので、人事施策の考案にも役立てることができるでしょう。

目標管理機能

目標管理機能は、従業員の目標を年次や四半期、月単位で管理する機能で、全社目標や部門目標など組織やチーム単位での目標の管理機能も備わっています。従業員それぞれがキャリアプランに沿った目標を設定することは、従業員のモチベーションアップだけでなく会社の経営戦略達成にもつながります。企業の成長に欠かせない目標管理制度(MBO)をタレントマネジメントシステムで運用することで、適切な人材配置が可能となります。

従来の目標管理は個人の目標設定が曖昧で、さらに手作業でまとめられていたので一貫性がなく、非効率でした。タレントマネジメントで目標管理すれば、目標達成度やスキルレベルが明確になるため、評価業務も効率的に進めることができます。

データ分析・レポート作成機能

データ分析・レポート作成機能は、従業員の人材情報をレポート化することで、経営会議資料や新規採用方針の決定、人事戦略の策定に活用できる機能です。この機能を利用すれば、人材情報の分析や他の人材との比較ができるので、適切な人材配置や最適な異動、人材過不足の予測などがしやすくなります。

レポート作成機能では、従業員の勤続年数や評価だけでなく、アンケート結果や保有資格の割合などさまざまな指標でグラフを作成できます。これにより、会社全体を色々な視点から分析できるでしょう。

タレントマネジメントシステムの種類

タレントマネジメントシステムは機能により、多目的・評価業務支援・目標管理支援・人材活用支援の4つのタイプに分かれます。タレントマネジメントシステムを導入する際は、これら4つの特長や目的を知ったうえで選ぶことが大切です。ここでは、4つのタイプそれぞれの特長について解説します。

多目的タイプ

多目的タイプは、評価・育成・活用、全ての工程に対応できる機能です。さらに離職防止の効果も期待できるタイプなので、人材マネジメントに関する課題や多岐にわたる企業や、将来的に活用範囲を広げたい企業に向いています。

「評価制度を新しくし効率的に進めたい」「人材情報を一元化し、必要なときにすぐに確認したい」「従業員のエンゲージメントを向上させたい」「コミュニケーションを円滑にし風通しの良い職場環境を作りたい」など、人材に関する要望が広い場合や、漠然と「タレントマネジメントシステムに興味がある」という場合は、まずは多目的タイプから始めてみると良いでしょう。

評価業務支援タイプ

評価業務支援タイプは、評価業務に特化したシンプルなタレントマネジメントシステムです。現行の評価業務において、紙に手書きしたりエクセルなどの表計算ソフトに入力したりと、手作業で行っているために業務が煩雑・非効率になっている企業に向いています。

評価業務支援タイプのシステムでは、評価に関する情報をクラウド上に集約・保存するので、転記などの手間がかかりません。自社の評価制度そのものに課題はないものの、よって「紙や表計算ソフトで管理するのが面倒」「査定会議用の資料作成に手間がかかる」などの課題を抱えている企業におすすめです。

目標管理支援タイプ

目標管理支援タイプは、従業員が設定した目標や達成までの進捗を一元管理できるタイプです。このタイプは目標管理のためのサポートに強みを持つため、従業員の育成に力を入れたい場合におすすめです。

目標管理支援タイプを利用すれば、評価の効率化だけでなく、その後の人材育成にも注力できます。従業員のスキルやモチベーションをアップさせるためには、従業員それぞれの目標を企業の目標につなげることや、壁にぶつかったときは相談に乗ってアドバイスすることが欠かせません。

目標管理支援タイプは、従業員が目標達成に向けしっかりと取り組むためのサポートを行うタレントマネジメントシステムです。

人材活用支援タイプ

人材活用支援タイプは、企業が持つ人材の明確なイメージとエビデンスに基づいて人事戦略に沿った人材を配置・抜擢することのできるタレントマネジメントシステムです。新規事業の立ち上げメンバーや幹部候補を選ぶ際にもおすすめです。

評価や育成を行った後は、人材を活用する段階に入ります。人材活用支援タイプを利用すれば、個々のスキルや経験、実積をもとに、適材適所の人員配置ができるでしょう。勘や印象に頼る感覚的な人事施策ではなく、「データに基づいた人事を行いたい」という企業に向いています。

タレントマネジメントシステムの比較ポイント

現在、たくさんのシステム会社がタレントマネジメントシステムを開発しています。そのため、導入の際に迷ってしまうことも少なくありません。タレントマネジメントを選ぶ際はどのような比較ポイントに着目すればよいのか、解説します。

目的に合う機能があるか

まずは、自社が利用する目的にマッチした機能を持つサービスを選びましょう。どんなに優れているシステムでも、目的に沿っていなければ役立てることはできません。公正な評価なのか、効率的な目標管理なのか、適切な人材活用なのか。導入する前にその目的を明確にしておくことが大切です。自社の経営課題から目的を洗い出し、現場の意見も配慮しながら製品選びを進めましょう。

またタレントマネジメントシステムは、製品ごとに得意な分野が異なっています。自社に最適な製品を選ぶためには複数の製品を比較し、違いや特長を確認したうえで自社の目的に合致するものを絞り込んでいくことが大切なポイントです。

既存システムとの連携が可能か

タレントマネジメントシステム以外の人事システムをすでに利用している場合、システム連携ができるかどうかも確認しておきましょう。給与や勤怠、採用などの人事や労務の業務システムをはじめ、コミュニケーションツールなどとの連携ができれば、それぞれに登録されているデータの一元管理にもつながり、連携できれば、データも有効活用しやすくなります。

最近では、API(ソフトウェアの機能を共有できる仕組み)を用いて外部システム同士を連携させるケースも多いようです。API連携に対応しているサービスがどうかも合わせて確認しておきましょう。

導入支援やサポート体制は充実しているか

タレントマネジメントシステムの導入前や導入時はもちろん、導入後に提供しているサポートも確認しておきましょう。タレントマネジメントシステムを自社の目的に沿って設定したり、従業員に使い方をレクチャーしたりする際に不明点が生じ、サポートが必要になる場合があるためです。電話・メール・チャットなどに対応しているか、サポート体制を確認しましょう。

また、タレントマネジメントの運用には人事に関する知見が必要となるので、導入する際は専門家のコンサルティングのもと導入することをおすすめします。システム会社のなかには、分析のサポートや人事評価制度に対する有料のコンサルティングを行っている場合もあります。サポート体制と合わせて、サポートにかかる費用も確認しておくと良いでしょう。

直感的に操作できるか

タレントマネジメントには、たくさんの便利な機能が備わっています。それゆえに、使いこなすのが難しいという声も少なくありません。タレントマネジメントを導入する際は人事や管理者だけでなく、すべての従業員が利用するイメージを持ち、誰にとっても使いやすいシステムを選びましょう。

また、企業の成長や配置転換などに伴い、システムに新項目の追加や仕様の変更が生じる場合もあり、そのような状況でも柔軟に対応できるシステムが望ましいといえます。タレントマネジメントを選ぶ際は、運用のしやすさに着目しましょう。

初期費用や利用料金はいくらかかるか

タレントマネジメントシステムにかかる費用は、プランや利用人数によって異なります。よって詳しい料金は問い合わせし、見積もりを出してもらわないとしないと分からないケースが多いようです。

そのためまずは、問い合わせフォームから料金の見積もり依頼を出すことをおすすめします。相見積りをし相場を確認しておくのも、予算を決めるうえで参考になるでしょう。

利用範囲や事業規模に適しているか

タレントマネジメントシステムを導入する際は、国内のみで利用するのか海外拠点でも使うのか、把握しておきましょう。海外でも利用する場合は、その言語に対応しているのか確認する必要があるからです。

また、利用人数が多いほど組織は複雑になるため、自社の規模に対応するシステムなのか確認することも大切です。今後変化するであろう事業規模や組織編成の変化にも柔軟に対応できるシステムなのか確認しておくことで、長期に渡り活用できるでしょう。

無料期間があるか

多くのタレントマネジメントシステムでは、無料のトライアル期間を設けています。しかし、期間の長さや制限される機能などが異なるためこれらの点を確認し、導入前に使い勝手を確認しておきましょう。

タレントマネジメントシステムが自社に合っているかどうかは、使ってみて初めて分かるものです。無料トライアルに申し込み、人事担当者や管理者だけでなく、今後利用するであろう従業員にも使ってもらい、使用感を確認しておくことをおすすめします。

セキュリティ機能は充実しているか

タレントマネジメントシステムには、従業員の人材情報が登録されています。大切な個人情報を守るためにも、セキュリティ機能が強化されたシステムを選ぶ必要があります。

セキュリティ機能の確認項目は、パスワードの強度確認機能やアクセス許可と除外の機能、クライアント証明書による端末認証機能などです。さらに、何らかのトラブルでデータが破損しないよう、データの自動バックアップ機能やデータベースの二重化機能があるとより安心です。

セキュリティ機能に関しては、導入企業数が多い、あるいは大手企業が導入しているものであれば一定の基準はクリアしているといえます。導入実績数も合わせて確認しましょう。

タレントマネジメントシステムならサイダスの「CYDAS PEOPLE」

人材情報を一元化できるタレントマネジメントシステムは、人材マネジメントに役立つシステムです。近年高まっている人材の多様化・流動化に伴う人材リソース有効活用のために導入する企業が増えてきました。

タレントマネジメントシステムの基本機能は従来の人事システムに加え、コンピテンシー情報の管理や人員配置の機能、データ分析などが備わっています。よって、人事戦略に沿った人材の育成や配置、異動が可能となり、個人のみならず企業の目標達成にもつながるでしょう。

また、タレントマネジメントシステムを導入する際のポイントは、自社の課題や導入目的を明確にしたうえで、今後変化するであろう事業の規模や形態にも柔軟に対応できる製品を選ぶことです。導入前は無料トライアル期間を利用し、使い勝手など使用感を確認しておきましょう。

CYDAS PEOPLEのタレントマネジメントシステムは、従業員に「働きがい」を感じてもらうために生まれました。豊富な人事データを集約し可視化することで、人的資本経営のデータ基盤を作り出し、人事業務の効率化と人財活用をお手伝いします。

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