サイダスは、人事にとって「痒い所に手が届くシステム」
沢井製薬株式会社は1929年創業、今年90周年を迎えた医薬品の製造販売および輸出入の会社です。ジェネリック医薬品マーケットのトップランナーとして、『2020年9月末までにジェネリック医薬品の数量シェア80%以上』という政府の掲げた目標に向けて、「なによりも患者さんのために」という企業理念のもと、様々な分野での取り組みをしています。
患者さんに高品質のジェネリック医薬品をお届けしたい、その普及を通して社会の発展に貢献したいという思いを「SAWAI QUALITY」と称し、製品の安定供給力、製剤技術力、情報提供力、社会貢献力などに磨きをかけています。
全国に7つの工場、19の営業拠点を持ち、社員数は2019年3月時点で3,131名。
業界トップクラスの生産体制で、約740品目という多品種少量生産に対応。また、MRによる情報提供だけでなく、24時間365日対応可能な医療関係者向けの医薬品情報センターを開設・運営するなど、安心して使っていただくための取り組みもしています。
本社オフィスの最上階、眺めの良い会議室で、サイダス導入の経緯や今後の展望などを伺いました。
※インタビューの内容は取材当時のものになります。
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ー私自身の感覚ではジェネリック医薬品というものが医療の現場やマスコミなどで取り上げられるようになったのは最近のこと、という感じなのですが、ジェネリック医薬品自体は昔からあったものなのでしょうか?
山川氏:
はい、ジェネリック医薬品は昔からありましたが、おっしゃる通り、医療の現場などで特に取り上げられるようになったのは、2013年に政府がジェネリック医薬品の使用促進のためのロードマップを掲げ、2018年3月末までにジェネリック医薬品の数量シェアを60%以上にする目標を掲げてからです。ある意味、国策として「ジェネリック医薬品を使用していこう」と決めた、ということです。
この背景には増え続ける医療費を抑制したいという思いがありました。ご存知のように新薬の開発には莫大な費用がかかり、そのため医薬品の価格も高くなります。ジェネリック医薬品は特許の切れた医薬品を、新薬と同じ有効成分、同じ効き目のある製品を作ります。新薬で有効性や安全性が確認されている分、開発期間が短くてすみますので、開発コストが抑えられ、新薬より安くなります。さらに、新薬にはなかった製剤や包装の工夫もできます。例えば大きくて飲みにくい錠剤を小さくしたり、手の力が弱い患者さんでも、少ない力で錠剤をパッケージから取り出しやすくしたり、飲み間違いを防いだり、などの様々な改良にも取り組んでいます。
会社がかかえていた課題ーシステム導入の動機
ーサイダスの運用開始は昨年(2018年7月)ですが、当時抱えておられた人事的な課題は何だったのでしょうか?
山川氏:
人事的に課題を感じていたのは、評価が適切にきちんと行われているのか、私たちが把握できていなかったことです。評価の適切な運用のためには、期初の目標設定や、期末の自己評価、上司からの評価のフィードバックが重要になるわけですが、当時、目標設定や評価をExcelで運用していたため、それが適切に行われているか人事部自身が把握できていなかったのです。そのために、全社的な目標管理や評価を行うためのMBOシステムを探していました。
野村氏:
また、目標設定や評価の運用のために、毎期、Excelでシートを用意して、それを部署ごとに切り分けて、メールに添付して送る、という作業だけでも膨大な手間と時間がかかっていました。拠点数も増えていましたし。
また、評価は処遇に結び付く大事なデータなので、間違えることは許されない。その一方で部署ごとにExcelのシートを分けて、送って、回収して、またそれを統合して、という作業は本当に負担でした。
山川氏:
また、当社の事業の急拡大に伴って、従業員数が急増しましたからね。MBOに要する作業工数も急増しました。私は2014年入社なのですがその時で社員数は1,100名ほど、それが今では倍以上の3,000名になっています。
野村氏:
そうですね、その当時は、毎月中途採用者が10名入社する、というような状況でした。毎月10名、単純計算でも年間100名は超えますから。人事は社員の入退社を管理するだけでも大変でした。
比較検討のうえでサイダスに決めたポイント
山川氏:
とにかくMBOを何とかしたい、という動機でいくつかシステムを見て、最終的にサイダスに決定しています。
ー他社製品と比較して、その中からサイダスが選ばれた決め手は何だったのでしょうか
山川氏:
一番はExcelとの親和性が高くサイダスを使って、実際にMBOや評価を運用している場面が容易にイメージできたことが大きかったですね。
例えば、MBOでは上司部下間の面談が重要となっていきますが、面談の実場面では、上司と部下が互いにパソコンを持って、パソコンの画面を見て面談する場面はまだまだ少ないように思います。当社もその場面ではパソコンではなく、紙で運用することが多いのですが、サイダスではパソコンで入力した内容をExcelにそのまま書き出し、紙に印刷することが簡単にできてしまいます。当時調べていた他社製品のものは、案外これが簡単にできないものが多かったのですね。
また部下の人数が数百名となるような大所帯の部署では、必要なデータをエクセルに抽出し、エクセルで整理された情報を並べて一覧化し、運用する場面も出てきます。ですので、データがExcelに出せないとなると、せっかくシステムを導入しても別の手間がかかってしまうことになります。その点でもExcelとの親和性が高いことはポイントでした。
山川氏:
また、他社製品のシステムは、そのシステムに合わせて今まで行ってきた自社制度や運用を変えなければならないことが多く、自社の制度や運用よりも「システムありき」という製品が多かった印象です。サイダスの場合は、自社の制度や運用をほぼ変えることなく、忠実に再現することができました。MBOの画面設計もそれまで使っていた自社の紙帳票と似た設計で再現できましたので、わかりやすい、というのもあると思います。
そのため、サイダス導入後にもユーザー(社員やマネージャー)からの操作に関する問い合わせがほとんどなく、驚いたぐらいです。サイダスを使った運用を始める時には、問い合わせの電話が鳴りまくったらどうしよう、などと考えていたのですが。
野村氏:
そうですね、多かった問い合わせは「パスワードを忘れた」ということでした。使い方は画面を見れば何となくわかってしまう、というのも、サイダスが当社の従業員に受け入れられやすかった大きな要因だと思います。
山川氏:
また、当社では、一次評価や二次評価など、最終評価に至るまでの各評価の過程は公開せず、「最終結果」だけをオープンにする形で運用をしています。外資系のような会社ならともかく、このように運用している会社は比較的多いように思うのですが、この運用を実現できるシステムが案外少なく、比較検討していた他社システムだとすべての評価過程がオープンになってしまうものばかりでした。
見られて困ることをしている訳ではないのですが、上司の評価基準が揃っていない場合等の場合には、どうしても評価の各過程で社内調整が行われます。最終評価に至る各運用の過程について実現しつつ、最終評価だけを公開できるサイダスは、まさに「痒い所に手が届くシステム」でありがたかったですね。
直感的で使いやすいことも大きな要素
山川氏:
画面が直感的で、「触ればすぐわかる」ことも、「現場で使われるシステム」になるためには大事なことだと思います。iPhoneなどでもそうですが、最近発売されるデバイスやシステムは、使い始めるときにマニュアルなど見ませんよね。いちいちマニュアルを見て、調べて、というのは面倒だと誰もが感じますし、マニュアルを見なければ使えないものは、結局は使われなくなってしまうと思うのです。
その点、サイダスは直感的にわかりやすいので現場の抵抗感も少なく、使ってもらえているのは良いことだと思います。
MBO以外の用途への発展性と柔軟さ
山川氏:
あと、サイダスに決めたポイントとして大きかったのは、MBO以外の用途にも活用できそうだった点です。この点、MBOの運用のために、サイダスに色々な人事情報を入力したり、連携させたりするのですが、せっかく手間暇かけて入力したり連携させた人事情報を、MBOの運用だけに限って使用するのは、非常にもったいないなと思っていました。どうせならば、タレントマネジメントシステムとまではいかないものの、人材を有効活用するための、情報ツールとしてMBOシステムがその一翼でも担ってくれたらなと思っていました。
この点、サイダスでは、評価結果を経年で追ったり、社員の入社以来の職務経歴を画面で確認できたり、また、各入力や格納した人事情報を簡単にExcelにして取り出すこともできるので、非常にありがたいですね。そのため、今までExcelや紙で持っていた人事情報もどんどんサイダスに入力したり、格納したりしています。サイダスに格納できない人事情報ってないんじゃないかと思うぐらい、サイダスは情報格納箱が豊富ですね。今では、MBOの運用以外でも、私たちに欠かせない人事情報システムとなっています。MBOだけのことを考えれば他社のシステムでも良いものがあったのですが、今後の発展性を考えればサイダスでしたね。
システム導入の効果
ーシステムを導入されてから3回のMBOを実施されましたが、どんな効果を感じられましたか
山川氏:
まず人事側で感じている効果は、とにかくオペレーションが楽になった、ということです。ExcelでMBOを運用している時代は評価の進捗状況を知ることすらできませんでしたから。もちろん物理的な工数が圧倒的に減ったということもあります。
上司(マネージャー)からも、今まではわからなかった情報がわかるようになった、とか部下を並列にならべて見比べることができるようになった、過去の事までわかるのでより理解が進んだ、などというような声があがっています。
山川氏:
また、これはMBO以外の事なのですが、サイダスを使い始めて色々なデータが集まり始めると「データは最新の状況でないと意味がない」と気づきます。そこで、オペレーションのしかたを変えて、常にデータがフレッシュであるようにしています。
野村氏:
これまで人事部で持っているデータは、月1回の給与計算に使うデータが最新のもので、次回の情報更新は、給与計算として更新が必要となる「翌月に」といった状態でした。給与計算に必要な情報と人材管理に使う情報では、用途が異なるので、月1回の情報更新だけでは人材管理として使えないことも多々ありました。
例えば、休職者の情報などは常に最新の情報でないと人材管理には役に立ちません。全社的にサイダスをより効果的につかうために、人事業務の運用を見直し、情報更新の頻度を高めるような工夫を行うようになりました。
今後への展開と期待
ーMBOのオペレーションや人材情報管理にシステム化の効果を感じていただいていますが、今後はどんな活用をお考えでしょうか?
山川氏:
サイダスを使うことで、多くの人材情報が整理され、リフレッシュされ、一覧で見えるようになったので、次はこれらを、数多くある人事的な判断に、科学的に活用することに是非取り組んでいきたいですね。例えば適性検査の情報を元に人材配置を考えるとか、新しいプロジェクトのメンバーのアサインを考えるとか、退職リスクのある従業員を割り出すとか、そんな人事的な判断に活用をしていきたいと考えています。
先日、サイダスの松田社長とお話する機会があって、「あれもしたい、これもしたい」と当社の要望をお話ししたのですが、『あ、それは次のバージョン(CYDAS)でできます。それもできます。』とのお返事だったのでCYDASには非常に期待しています。
ー今日は様々なお話をありがとうございました。