お問い合わせ
譲れないのは、社員の成長 複雑な360度評価制度もシステム上で実現

譲れないのは、社員の成長 複雑な360度評価制度もシステム上で実現

2020年に設立の「Ridgelinez(リッジラインズ)株式会社」は、DXコンサルティングを中心に社会の課題解決に取り組む会社です。富士通グループを母体としながら、コンセプトや制度、基幹システム等は全てゼロから導入、グループ内でも実験的な組織としてその取り組みに注目が集まっています。今回は、360度評価の制度設計及びサイダス導入プロジェクトを企画段階から担当した鱸さんと、ITの専門チームと連携しながらサイダスを通じた人材情報の活用を進めている藤原さんにインタビュー。サイダス導入の経緯と活用についてお話を伺いました。

何もないところから始まったシステム導入プロジェクト

ーシステム導入の経緯について教えてください。


鱸さん

事業の開始が2020年の4月、私が人事メンバーとしてジョインしたのが同年の6月でした。当時は、制度もシステムもなく文字通りゼロからのスタート。ひとまず、必要な人材データはエクセルを使って取りまとめることにしたものの、人材データベースのシステム化は急務でした。そこで数社のタレントマネジメントシステムを比較検討した結果、サイダスを導入することになりました。

システム選定の軸は大きく分けて2つ。自分たちのやりたいことが正しく実現できるか、スピード感を持って実現できるかです。実をいうと、現在運用している360度評価制度は、CEOの今井が会社の設立時から構想していたものなんです。理想を詰め込んだ制度ですから、当然世の中一般のシステムでは運用が難しいだろうなと思っていました。実際、多くのタレントマネジメントシステムを検討しましたが、決まったパッケージの中でダッシュボードにして見える化することはできても、自分たちが求めている運用を実現できるものには出会えませんでした。しかしサイダスのシステムは、実現したい内容に合わせられる柔軟性とSaasならではのスピード感、その両方をバランスよく備えていたのです。
夏頃に提案を受け、10月にデータ投入を開始、12月には基礎となる人材データベースを立ち上げることができました。そういった導入時のスピードはもちろんのこと、サイダスの製品は日々の改善サイクルも早いです。アップデートされていく機能の豊富なバラエティも、サイダスならではの良さだと思います。

藤原さん
サイダス社の常にアップデートしていく姿勢に、刺激を受けることも多いですね。Ridgelinezは富士通のグループ会社でありながら、富士通がこれまで積み上げてきた慣例に従うのではなく、新たなチャレンジを推奨する雰囲気があります。というのも、富士通グループの社員数は約12万人。長年使われてきたオンプレミスの基幹システムも多いですし、新しい制度やシステムは気軽に導入できません。しかし、今のRidgelinezのように300から400人程度の組織であれば、スピード感を持って新しいことが始められますよね。そういった実験とチャレンジを常にしていきたいと思います。

挑戦的な360度評価も、経営層の思いがあるから浸透する

ーRidgelinezさんで運用している360度評価制度について教えてください。


藤原さん

一般的な360度評価では、上司が評価の取りまとめ役になり、被評価者のプロジェクトメンバーや部下、他チームの上長など様々なメンバーからの評価を集めるのが、よくあるフローだと思います。しかし、Ridgelinezの360度評価は少しユニークで、直属の上司ではない第三者が評価者になります。つまり、同じプロジェクトの上司ではなく、普段は違うプロジェクトにいる社員が中立的な立場に立って、多角的な評価を集めるというわけです。

まず評価時期になると、直属の上司ではない第三評価者が、被評価者の周辺人物にインタビューやアンケートを実施して、コンピテンシーを体現する被評価者の行動を具体的に聞き取ります。そこで得たエビデンスをもとに、コンピテンシー定義書に基づいた客観的な判断を行い、評価会議シートを作成します。もちろん、シートの作成も第三評価者が行います。評価会議の場では、ボードメンバーから第三評価者に対して、評価会議シートの内容に対する質問や指摘がなされ、最終的な評価が確定します。
※第三評価者:直属の上司ではない中立的な立場で、被評価者に対する評価のエビデンスを集め、取りまとめる役割の人

鱸さん
この制度の発案者であるCEOの今井は、キャリアのスタートが富士通なんです。新卒で富士通に入社した後、数年で渡米し大学院へ。その後MBAをとってコンサルティングファームへ再就職しコンサルタントとしてのキャリアを重ね、現職に至ります。今井としては、ファーストキャリアである富士通への思い入れから「コンサルタントとしての経験を全て詰め込んだ理想の人事制度を作りたい」と考えていたそう。そこから、Ridgelinezの360度評価制度は生まれました。今井の理想を詰め込んだことで複雑な制度だったこともあり、実際に運用が始まった時には、制度設計をしてくれたコンサルタントの方が「本当にできるんですね」と驚くくらいでした。まだ理想を完璧に再現できているわけではないですが、ひとまずスタートラインに立てた感覚があります。

ー制度を浸透させるために実施したことはありますか?

鱸さん
制度を全社展開する前に、経営層だけで模擬的な評価会議をやってみたことがありました。最上位グレードの社員十数名が会議室に集まり、そのうちの一人に対する評価を他の全員で話し合いました。それを繰り返し、人数分実施したというわけです。もちろん、その時システムはありませんし、「お互いを客観的に評価してください」と言われてもわからないことばかり。でも、一人目、二人目…と繰り返していくうちに、「評価会議はその人の良いところや伸ばすべきポイントを真面目に議論する場なんだ」「人を成長させるための評価制度なんだ」と肌で感じることができたようです。やはり、組織で新しいことを始めるときには経営層の理解と協力が必須ですし、こうした機会を設けたのはよかったなと思います。
実は、CEOの今井自身も 1人のプロフェッショナルコンサルタントとして、360度評価制度によって評価されるんですよ。成長のための制度なので、CEOも例外ではないんです。

藤原さん
役職の上下にかかわらず、評価の時には皆が事実をフラットに述べます。不思議なことに、それらの事実を総合的に書き集めると、浮かび上がってくる人物像があるんです。その人の強みや特徴が見えてくると、人ってよく見ているし、自身も見られているんだなと実感します。

フィードバックがあるから人は変われる

鱸さん
実を言うと、私は元々「評価される」ことが好きではありませんでした。内容の良し悪しに関わらず、他者から評価をされること自体が苦手というか 。
しかし、360度評価を被評価者として受けるようになり、客観的な視点から「自分でもイケてない」と自覚している部分を指摘されることがあったんです。その時に、人って意外とよく見てるんだと実感して、フィードバックへの抵抗感がスッとなくなりました。良いことも悪いことも、素直に受け入れて納得していかないと、次の成長がないと思えたからです。人の意見をまず受け止める姿勢が大切ですね。

ー経営層の理解があるとはいえ、第三評価者をはじめとした社員一人ひとりの力量が非常に問われる制度の様にも思います。

鱸さん
そうですね。この360度評価のやり方は、どの企業にでもおすすめできるわけではありません。

通常の上司部下間の評価だと、主観が入ってしまう可能性こそありますが、お互いによく知っているからこそ、ある程度正確な評価ができるとも言えます。第三評価者の場合「普段の仕事ぶりを知っている」という、ある種のアドバンテージがありません。だからこそ、評価の基準を正しく理解して、エビデンスを集めるヒアリング能力が、通常の評価制度以上に必要とされます。評価の基準を全社に浸透させ、評価者の質を高めていくには時間と労力がかかりますし、容易なことではありません。しかし、その苦労を惜しまないことが人材の成長に繋がると思いますし、Ridgelinezとして必要だと考えるからこそ、私たちは意思を持って、この評価制度をアップデートし続けていくと思います。

評価者としても被評価者としても人事としても使い勝手がいいシステム

ーシステムの使い勝手について教えてください。

鱸さん
制度が複雑だからこそ、システムの操作まで難しいと、社内へ浸透させるハードルがグッと上がります。その点、サイダスのシステムは説明書がなくても、どこを押したらいいのか、何を書いたらいいのかが直感的に分かるので助かりました。まさに、空気のように使えるシステムだと思います。

藤原さん
一般社員の場合、評価のシステム画面を開くのは年に数回。そうなると、細かい操作方法等は忘れてしまっていて、毎回初心者同然です。また、中途入社の社員も多いので、人事の説明工数不要でストレスなく使い初めてもらえるのはありがたいですね。

ー人事目線で見た、システムの使い勝手はいかがでしょうか?

鱸さん
人事が必要だなと思う人材情報は基本的に網羅されていますし、新しく項目が欲しい時にも、自身でカスタマイズできるのは便利だなと思います。
また、コンサルファーム特有の使い道かもしれませんが、プロジェクトのアサインメントにも活用しています。サイダス上に登録されている人材情報と、各プロジェクトに必要な人材の条件を照らし合わせて、誰をどのプロジェクトにアサインするか/いつからアサインするかの判断をしています。アサインの際は、複数の視点から人材を見ることが必要なので、API連携によって他システムと情報を連携させられるのも、便利なポイントです。

システムをアサインメントにも活用

ーサイダスを用いたアサインメントのフローについて、詳しく教えてください。

鱸さん
アサインメントには、大きく分けて二つのパターンがあります。
一つがシニアメンバーのアサイン。専門性が定まっているシニア層の社員に関しては、プロジェクトのオーナーやマネージャーがアサイン権を持っています。一方、まだコンサルタントとしての基礎スキルを磨いている最中のジュニアメンバーは、人事によってプロジェクトにアサインされます。サイダスを参照したアサインメントが実施されるのは、主に後者のジュニアメンバーですね。これまでの経歴や経験してきたプロジェクト、資格や語学力等のデータを参照しながらアサインがされます。

プロジェクトのアサイン業務を、人事が担うのか管理部門が担うのかは、コンサルティングファームによってそれぞれかと思います。プロジェクトをホテルの空き部屋だとして、その空き部屋に効率よくお客様を入れて稼働率100%を目指すだけなら、もっと効率的なアサインのやり方があるでしょう。しかしRidgelinezでは、アサインメントをタレントマネジメントの一環として考えています。つまり、その人が「仕事を通じてどういう成長があったのか」を見守りサポートすることが一番大事で、プロジェクトのアサインはその手段の一つなのです。

もちろん、会社として各コンサルタントの稼働率を上げていくことは重要ですが、プロジェクトに合った人材か、アサインされたメンバーが成長できる機会があるかは、効率化より欠かせない視点なんです。

タレントマネジメントの全ては、人をいかに成長させていくか

鱸さん
評価もアサインメントも、「人事の施策は全て、社員の成長につながるように」という思いが根本にあります。だからこそ評価にはフィードバックがセットですし、次の育成計画に繋げることが前提になっています。

藤原さん
今後は、社員一人ひとりの挑戦したいことをシステムで拾い上げ、アサインメントの提案をしていきたいと思います。社員の「WILL」の部分を考慮して、それならこのプロジェクトに挑戦してみましょうか、というアサインの仕方ですね。

また、 「このスペシャリティスキルを伸ばしていきたい!」と明確な社員が、社内のプロフェッショナルメンバーと、サイダス上で繋がりを持てる仕組みが作れたらと思います。現時点でサイダス上に各社員のプロフィールは登録されているのですが、その情報の粒度って人によってまちまちなので…。そこが揃うように人事からも働きかけをして、人と人との繋がりを作っていくことで、Ridgelinezのビジネスにも好影響を与えるシステム活用が実現すると思っています。

鱸さん
情報をフレッシュな状態で保てるような仕組みを作るというのは、各社苦労しますが大事なポイントです。先ほど話にあった社員同士の交流ももちろんですし、アサインメントでの活用もさらに深めていくことで、サイダスに情報を入れておくメリットをきちんと作りたいです。プロジェクトのアサイン、評価、フィードバック、コミュニケーションなど、多角的な視点からサイダスを活用して、社員自身が使いたくなる仕組みづくりを人事として考えていきたいですね。サイダスさんからも、そのサポートを今後ともいただきたいと思っています。

譲れないのは、社員の成長 複雑な360度評価制度もシステム上で実現
Ridgelinez株式会社(Ridgelinez Limited)
創立:2020年1月15日
社員数:369名(2022年4月1日時点)
資本金:1億円
事業内容:DXコンサルティング
ウェブサイト:https://www.ridgelinez.com/
導入規模:500名
利用開始:2020年12月
  • 専門サービス
  • 100〜499名規模
  • 人材情報一元化
  • 評価・目標管理

業種別のよくある導入目的

  • 金融業

    データの一元化/属人化しない配置/育成・キャリア開発/厳しいセキュリティへの対応

  • 製造業・メーカー

    多拠点・多事業所のデータの一元化/研修状況・資格の見える化/管理職の適材適所

  • 建設業

    スキル・資格とプロジェクトのマッチング/1on1で現場育成/成果の見える化

  • 小売・サービス業

    データの一元化/最適配置/リーダー育成/キャリアパス明確化/エンゲージメント向上

  • 士業

    スキル・資格・業務内容・成果の見える化/納得感のある評価/従業員満足度向上

  • 介護・福祉

    人材の定着化/戦力の早期育成/安心感のあるコミュニケーション/働きがいの創出

トップ